SHARP DV-HRD30
BSデジタル、地上デジタルのハイビジョン対応レコーダです。ハイビジョン解像度で録画できるのはHDDのみで、DVDにムーブするとSD解像度にダウンコンバートされます。画質に影響する設定は デジタルノイズリダクション:切、クロマディレイ設定:切 で測定しています。
コンポジット出力

改良SMPTEカラーバーをみると輝度レベルは2%ほど大きめです。,クロマレベルは輝度に対してほぼ正確です。バーストレベルもほぼ正確です。PLUGEの-4%と104%も正しく再現されています。
左端の75%ホワイトの立ち上がり部分に大きなリンキングが見られます。この原因はおそらく左端の数ピクセル(8くらい)がサプレス(黒塗り)されているためと思われます。
クロマ位相は正確ですが、若干ジッタがあり、輝点が広がっています。ただし、視聴にはまったく問題ないレベルです。−I、Q信号も問題ありません。デジタルNTSCエンコーダが使用されているのかも知れません。

以下の測定は波形モニタのレベルを調整して行いました。


ステアステップで等諧調性をチェックします。
5Stepの波形を見るとリンキングもなくきれいな波形です。
次にフルスケールのランプ波形ですが、これも問題なく全域(1-254)出力されています。
変調ランプについても問題ありません。

スイープ信号で輝度信号の帯域をチェックします。

上が水平スイープ、下が垂直スイープ波形です。わずかに高域に向かって減衰しますが広帯域です。エイリアスは5.3MHz程度から発生しています。


インパルス応答です。上下のピークはでていますが、左右の対称性はあまりよくありません。補間フィルタは11タップ(補間前で)でしょうか。

その他の信号もおおむね良好です。NTC7コンポジット12.5Tパルスの輝度とサブキャリアのピーク位置がそろっています。偶然の可能性もありますが、CCIR601に準拠してるかもしれません。インパルス波形と同じくSin(X)/Xのアンダーシュートが左右でそろっていません。
コンポーネント出力 インターレース

コンポーネント(YCbCr)出力をチェックします。コンポーネント出力は信号部分0.7V、同期信号0.3Vとなっており、コンポジット信号とわずかに異なります。ここでの計測にはコンポジット信号用の波形モニタを使用していますので、目盛りがわずかにずれますが、信号部分が0-100の目盛りに合うようにレベルを調整しています。

改良SMPTEカラーバーを見ると、コンポジット出力と少々異なります。まず-4%が出力されていません。さらに75%白の立ち上がり部分のリンキングも見られません。水平スイープをみると、コンポジット出力の高域の減衰がなくフラットになっています。この結果から、コンポジットとは別の回路が使用されているようです。


左側がCb、右側がCr、上が水平スイープ、下が垂直スイープです。波形を見ると、直線補間されている様に見えますが、Crを見ると1.5MHz付近からゲインが上昇しています。Cbはクリップしているので判らなくなっています。

インパルス応答を見ると、直線補間ではなく5タップのフィルタが使用されているようです。上のレベルが大きく、下は小さく、両端の係数はゼロに近い形です。この係数によって、ハイ上がりで、直線補間的な波形になるものと思われます。

その他の伝達特性をチェックする信号です。Sin(X)/Xが団子のような形をしているのも直線補間的です。
コンポーネント出力 プログレッシブ

これはインターレースと同じ傾向です。周波数が上がるため、多少高域が低下するようです。(波形もモニタの帯域の可能性もあります)

色差についても同様です。

オーディオ アナログ出力

オーディオについてはごく基本的な信号のみ収録していますのでS/N(ノイズ)、歪率、周波数特性等の基本的な特性をチェックします。
計測結果を拡大するにはサムネイルをクリックしてください。文中のリンクはリファレンス波形へのリンクです

残留ノイズ、S/Nをチェックします。
左上がシステムメニュー表示時で垂直周波数(60Hz)をはじめとして低域の映像信号が-115db程度混入しています。これに比して水平周波数(約
15.7KHz)の混入は少なく-130db程度です。4.3KHzと8.6KHzにもピークがあります。
右上は無音(1KHz、-120db、16bit)再生時で混入が大きくなります。これは映像信号の違いによると思われます。
下は1KHz、-120db、24bitですが、ノイズフロア、混入ともさらに10db程度上昇し、信号は識別できません。

歪率をチェックします。左側が16bit、右側が24bit、上段が-10db、下段が-90db、周波数はいずれも1KHzです。
-10db、24bitの結果を見ると、高調波以外のピークが多いですが、2次、3次、4次ひずみが-110db〜-120db(信号比-100db〜-110db)程度出ています。-10db、16bitには量子化ノイズ(奇数次)が加わります。

周波数特性をチェックします。左がリニアスープをピークホールドしたもの、右がホワイトノイズを平均(300パス)したものです。いずれも22KHzまでほぼ平坦です。
測定する際の注意
オーディオ S/PDIF出力

1kHz、-10dbの左が16bit、右が24bitです。24bitでも16bitと同程度の歪があり、16bitには存在しない偶数次歪も奇数次と同程度出ています。この理由ははっきりしません。

総評としては、コンポジット出力は広帯域で、基準信号源として使用できると思います。コンポーネント出力は帯域は十分広いですが、色差の補完があまりよくないことに注意する必要があります。オーディオ出力も、映像信号の回り込みが多いようです。ハイビジョン録画再生がメインでDVD再生にはあまり力が入っていないのでしょうか。

録画(アナログSD)性能については別項で掲載予定です。


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