PIXELA MPTV/P8W
ダブルチューナ、ゴーストリデューサー、TBC、3DY/C分離等の機能を持ったハードウェアエンコードTVキャプチャカードです。チューナーは日立、ビデオデコーダはパイオニア、エンコーダはXCordII-Lです。
P4Wの後継機種ということで、期待して予約までして購入しましたが、あまりにもソフトが使いづらいため使用していませんが、今回再度取り付けて測定してみました。
キャプチャはVBR、3Mbps、3DYC Onで行いました。
コンポジット入力

標準状態では輝度、彩度ともに高めですが、どちらも設定で下げることができません(!)のでそのまま測定しています。

波形を見ると色々問題があります。まず輝度が0-100%で上下ともクリップしています。輝度(緑)に大きなノイズが乗っています。これはおそらくサブキャリアが混入していると思われます。黄色の部分の色差(UV)信号が傾いています。そのため黄色のベクトルが大きく狂っています。-I、Q信号のベクトルもずれています。


ステアステップで輝度信号のリニアリティーをチェックします。
5Stepの波形は100%でクリップしています。ステップ部分にオーバーシュートが発生しています。平坦部分にノイズが多く、ところどころ1LSBの振動が発生しています。
フルスケールのランプ波形は上下がクリップし、ノイズも多めです。
変調ステアステップ、変調ランプでは左側で色差信号がうねっており、その他の部分でもオフセットがあり、ベクトルのスポットが線状に広がっています。

クロマステアステップでクロマ信号のリニアリティーをチェックします。なにやら複雑な様相を呈しています。サブキャリア振幅に応じて位相が変化しています。70IREp-pあたりで反時計回りになりその後急に時計回りにずれてゆき、100IREp-pに近づくと収まります。振幅は+-0.5でクリップしています。

スイープ信号で輝度信号の帯域をチェックします。
左が水平スイープ、右が垂直スイープ波形です。0-100%でクリップしているため、正確な振幅特性は判りませんが、帯域は広く、-3db点は5.8MHz付近です。
VITSスイープを見ると1MHz付近で振幅が膨らんでいますが4.2MHzまで平坦に出でています。
いずれもエンベロープがでこぼこしています。

同じくクロマサブキャリアの帯域を調べます。左がI軸方向、右がQ軸方向の水平スイープです。いずれも-3db帯域は0.7MHz程度で、減衰は緩やかです。I軸ではV(Cr)、Q軸ではU(Cb)が周波数が下がるにつれ振幅も下がっているように見えますが、これは周波数ではなくその位置(左側)のゲインがおかしいためです。
下段はI軸方向の垂直スイープです。画像を見ると低い周波数の両側にドット妨害が発生しています。また2.5MHz以上のところに輝度への干渉が見られます。

AGCの効き具合をチェックします。
輝度は100%でクリップしますが、変化時に10フレームくらいの間レベルに影響を与えているのがわかります。
クロマはAGCよりも左側の部分のCbのゲインの大きな欠けが目立ちます。その影響か360フィールドシーケンス波形がざわざわしています。
4段目右はバウンスの1Hzの正弦波ですが、クリップから回復した後に少しゲインの暴れがあります

NTC7コンポジット12.5Tパルスをみると輝度、クロマの遅延差はほとんどありません。ホワイトフラッグや2Tパルスはきれいですが、0-100%でクリップしている事を考慮しなければいけません。
コーリングチェック信号をみると周波数に関係なくバタフライの中央が平坦になっています。
Y=U=Vの階段波形を見ると左側に例のゲインのへこみ(とふくらみ)があるほか、上下でソフトクリップしています。これはコンポジット信号の時点で下側がクリップしているためと思われます。また輝度信号へサブキャリアが混入しています。(この信号は中央でサブキャリアの振幅が小さく、両側で大きくなります)

左側のクロマのゲインがおかしい影響を見ます。75%シアンのフラットフィールドでは画面左端の色相が違うのが判ります。また輝度へのサブキャリアの混入が多いため、コンボジット信号で視聴した場合、大きな色ノイズが発生すると思われます。
S-Video 入力

コンポジット入力同様、輝度、彩度ともに高めです。振幅は小さくできないため、明るさを下げて黒つぶれと白とびのバランスを取ってみました(調整量は-1000!!)。さらになぜか色相が大きく(10度以上)右回りにずれています。色あい-50位でほぼニュートラルになりますが、各色それぞれにずれが残ります。以下の測定にはすべて同じ設定で行っています。
S-Videoではさすがに輝度にサブキャリアは混入しません。色差の左側のゲインがおかしいのはコンポジットと同様です。

不思議なことに輝度、クロマの帯域ともコンポジット入力時より狭くなるようです。
左側のクロマゲインのへこみはコンポジットほど目立ちません。
垂直スイープも問題ありません

クロマはコンポジット入力時と同様ですが、位相のゆがみは多少少ないようです。

AGCの過渡的な影響は1フィールドで収まっています。クロマのゲインの暴れは、コンポジット入力時より少なそうです。

NTC7コンポジット12.5Tパルスをみると輝度、クロマの遅延差はほとんどありませんが、クロマのレベルが少し不足し、クロマのピークが少しつぶれているようです。-180度の位相がずれています。これは調整仕切れていないためです。
コーリングはコンポジットより効きが弱いようです。
Y=U=Vの階段波形は輝度に較べてU,Vのレベルが少し低い以外は大きな問題は無いようです。

主にビデオデコーダに起因すると思われる不具合が目立ちます。付属ソフトもリモコン+10フィートUIとしては使えるのかも知れませんが、PC画面上では大変使いずらく、機能的にも問題があります。チューナーはじめ主要な部品が2組あるためか、消費電力が多く、ちょっとしたビデオカード並みの発熱があるのも気になります。
ただし、上でも書いたとおり予約して購入したため、初期ロット固有の問題で、デコーダ周りの問題はその後改善されている可能性もあります。

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